職歴・環境と問診
現代の健康障害の診断と治療、そして何よりも予防にとって必要・不可欠なのは、生 活内容・環境要因の把握であり、働く人々にとっては、労働条件・職場の環境の評価 です。それらを知る最大の方法・手段・技術は「問診」です。患者さんの側から見れ ば、どうそれらを伝えるか、が大切です。

まず、我々の所の診療録(カルテ)の表紙を中心に紹介します。表紙にも効率良く記載出来る様工夫してあります(写真右@)。更に、通常の診察記録帳(第1診療録=写真右A)の他に、患者さんの貴重な情報を記録したりする第2診療録(写真右B)もあります。それらの中にある「職場環境チェック表」は、表1、2の如く「簡易」「詳しい」の2種類が用意されています。
(表1)
該当欄にとして下さい(該当なし□) 仙台錦町診療所カルテ(表)
職場環境 現在 過去 職場環境 現在 過去
1 粉じん
2 有害物使用
3 温度、圧力、光の異常環境
4 騒音
5 夜勤、早朝(交替性)勤務
6 重量物取扱
7 不自然長時間固定姿勢














8 振動工具使用振動環境
9 手指過重労働
10 VDT作業
11 眼を使う細かい仕事
12 神経を使う仕事
13 休憩、休息を取りにくい
14 その他















(表2)
作業環境チェック・リスト
作業環境 現在 過去 作業環境 現在 過去
イ.ほこりをよく吸う
ロ.シンナー、有機溶剤を使う
ハ.重金属を使う
ニ.その他の有機物を使う
ホ.明るすぎる
ヘ.暗すぎる
ト.高圧環境
チ.高所環境
リ.高温環境
ヌ.寒冷環境
ル.紫外線を扱う
オ.赤外線を扱う
ワ.悪臭、刺激臭の吸入
カ.騒音環境
ヨ.夜勤・早朝勤務がある
タ.重い荷物をもつ
































レ.立ちっぱなし
ソ.座りっぱなし
ツ.中腰が多い
ネ.振動工具使用
ナ.全身振動がある
ラ.手指を長時間使う
ム.VDT作業
ノ.眼を使う細かい仕事

<その他>
ラ.対人サービスが主
ヤ.神経をかなり使う
マ.運転する時間が長い
ケ.休み時間が少ない
フ.休憩室がない
コ.休憩がとりにくい
エ.上記該当するものなし



































又、第1診療録を開くと、図1の如く「自覚症状」の隣に「環境や運動」の内容を記載し症状と比較して判断する様になっています。

第2診療録には、図2の如く、「症状」と「職歴」「居住歴」を、時系列的に比較しながら診断に役立てる表があります。又、高血圧症や糖尿病の様に慢性的に治療を進める必要がある疾患には、「慢患チャート」がありますが、図3の様に、労働や生活内容を対比して「悪化要因」を判断し、改善にもっていく様にしていきます。


高血圧症では、表3の様な「チェックポイント」を想定しておく事が重要です。患者さんの方では、そうした内容、特に、「新たに加わったり、変化した事」を伝えるのが大切な事です。
(表3)
働く高血圧の労働・生活環境の主なチェックポイント
夜勤(専業、シフト)・早朝労働・残業時間・通勤時間・通勤方法・エベント・宴会
接待・単身赴任・出張(海外・遠方・頻度)・低温・高温・温度差・多湿・風水害
事故・重量物・高所・地下・水中・騒音・神経緊張(運転・VDT・対人・トラブル)
睡眠時間・乳幼児・酒・タバコ・家族病気


問診・診療録参考文献(★★著者広瀬俊雄、★☆編著者広瀬俊雄)

★★「労働・生活環境を探る問診法」(あゆみ出版)
★☆「あなたと家族の為の過労死しない・させない本」(農文協)
★★「今日の外来診療−第5章職業起因性・環境関連性疾患」(医学書院)
★☆「シリーズ;現代の病(4)職場の病」(同)
★ ★「特集『作業労働関連』−作業(労働)関連疾患に外来でどう対処するか? カギは問診と診療録の充実」JIM3(6)P502-5 (同)




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